ぶ~ん!
今日は会社はお休みです。
ですが、清孝君は一人朝からお出かけです。
愛車で近所の24時間スーパーの西友へ・・・。
どうしてもマーボー豆腐が頭を離れない清孝君はついに
マーボー豆腐作りに挑戦です。
頭の中でマーボー豆腐の材料を考えます。
『豆腐にネギにひき肉に豆板醤と~あとなんだっけ・・・』
朝の西友はお客さんもまばらで空いています。
こんな時間に買い物をする35歳の男性はあまりいないし・・。
清孝君が帰宅すると、奥さんの美穂と小学生の清人くんが
TVを見ていました。
「ど~したの急に買い物なんて行って??」
「パパ何買ってきたの??」
二人は何が始まるのか興味津々です。
「今日の昼飯俺作るから!」
「え~」二人の声が重なります。
「え~何作るの??」
「私は助かるから良いけど、どうしたの突然・・・」
美穂は、目を白黒させています。
確かに、清孝君は、結婚していらいというか、交際中も含めて料理を作っているところなど
見せた事がありません。
「パパ料理出来るの??」
「何作るの??僕ハンバーグが良い!」
清人君も好き勝手言い始めます。
「大丈夫だよ・・・。でも清人、ハンバーグじゃないからな!」
清孝君の目は自信に満ちています。
「つまんないの・・・。」
がくと大げさに下を向く清人君も、実は、なんだかわくわくしています。
「ハンバーグよりおいしいものを作るからな~!」
台所に立つと久々の料理に清孝君は少し楽しげです。
「何だか良い匂いね~」
のぞきに来た美穂は少し心配顔です。
「マーボー豆腐ね~!」
「あれ、おいしそうね~匂いと見た目は!」
さて、食卓にマーボー豆腐、玉子スープ、ご飯が並びます。
「頂きま~す。」
清人くんがまずスプーンで一口です。
続いて美穂も
「もぐもぐ」
自慢顔の清孝君も続いて
「パク・・・もぐもぐ!」
「辛~い。何これ辛くて食べれないよ~!」
清人君が泣きそうな顔でお水を飲んでいます。
「確かに清人には辛いかもしれないけど、おいしいわね~!」
美穂がご飯を口に入れながら呟きます。
「パパひどいよ~!」
確かに、夢中で作ったので子供向きとかはまるで考えてはいませんでした。
「ごめんごめん。」
反省の言葉にしてはニコニコ顔の清孝君です。
気分は自画自賛です。
『でも、うまいよな~!』
「ママ美味いだろ??」
この問いに
「クックDOでしょ??何使ったの??」
美穂はまるで信じていません??
「インスタントじゃなくて全部自分で作ったんだよ。」
プライドを傷つけられた清孝君は不満です。
「ほんと~!ほんとならすごいわね~少し辛いけどおいしい~」
「パパまずいよこれ!!」清人くんは納得が行きません。
「ハンバーグの方が全然うまいよ、ひどいよ~!」
自画自賛、鼻が伸びに伸びた清孝君は、晩御飯の約束までしてしまいます。
「わかった。わかった。晩御飯にハンバーグを作ってやるから。」
「え~晩御飯も作ってくれるの??すごいじゃん??」
美穂は自分の仕事が減るのでニコニコしています。
『おれ・・いけるかも??』
単なる夫の気まぐれだと思い、はやし立てる美穂でしたが
これが田北家にとっての一大事へと続いていく事には、まだ気づいていませんでした。
『おれマジいけるかも??』
心で呟く清孝君でした。
つづく・・・。
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